サンディエゴ・コミコンで発表されたMCUフェーズ6の野望
2022年7月、サンディエゴ・コミコンでマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが発表したMCUフェーズ6の計画は、ファンに大きな期待を抱かせるものでした。
当初の発表では、フェーズ6は「ファンタスティック・フォー」から始まり、「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」と「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」という2つのアベンジャーズ映画で締めくくられる予定でした。
特筆すべきは、これらの映画が「マルチバース・サーガ」の一部として位置づけられたことです。
フェーズ4、5、そして6を通じて展開される壮大なストーリーラインの集大成として、2つのアベンジャーズ映画が計画されていたのです。

ファイギはこの時点で、マルチバースに関連する様々なストーリーラインが「シークレット・ウォーズ」へと収束していくことを示唆していました。
これはMCUにとって「全く新しい側面」になるとも語っていました。
最初の計画では、「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」と「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」は2025年に僅か6ヶ月の間隔で公開される予定でした。
MCU史上初めて、同じ年に2つのアベンジャーズ映画が公開されるという野心的な計画だったのです。
しかし、その後のスケジュール調整により、「ファンタスティック・フォー」の公開日が延期され、それに伴って両作品も延期されることになりました。
現在の予定では、「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」は2026年5月1日、「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」は2027年5月7日の公開とされています。
正直、僕もこの発表を聞いた時は「マジか!」と思いましたね。
同じ年に2つのアベンジャーズ映画って、ファンにとっては夢のような話だったんですが、延期されたのはむしろ良かったかもしれません。
壮大な物語をしっかり描くには時間が必要ですからね。
征服者カーンとは?MCU最強の次世代ヴィランの正体
「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」のタイトルにも登場する征服者カーンは、サノスに続くMCUの強大な敵として位置づけられていました。
彼は一体どのような人物なのでしょうか?

原作コミックでは、征服者カーンは1964年に「Avengers #8」で初登場しました。
本名はナサニエル・リチャーズで、30世紀のアース6311で生まれた未来人です。
超能力は持っていませんが、未来の科学技術を使いこなし、タイムトラベル技術を駆使して様々な時代や場所を移動します。
ナサニエルの祖先については、ファンタスティック・フォーのリード・リチャーズの父親の子孫説と、ドクター・ドゥームの子孫説の2つがあります。
征服者カーンの存在は、すでにMCUドラマ「ロキ」シーズン1で言及されています。
正確には、カーン自身ではなく、別のタイムラインに存在する彼の変異体「在り続ける者」として登場しました。
役者はジョナサン・メジャースで、彼は「ロキ」シーズン1最終話で自分がかつて「征服者」とも呼ばれていたと明かしています。
そして、征服者カーンが悪役として正式登場したのは、映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』でした。
原作コミックの「ザ・カーン・ダイナスティ」は、2001年6月から2002年8月に刊行された「Avengers」コミックで描かれたストーリーです。
このコミックでは、30世紀の征服者カーンが自分の息子マーカス(別名:スカーレット・センチュリオン)と共に21世紀の地球を征服するために襲来し、アベンジャーズが応戦するという物語です。
カーンという名前を冠したストーリーアークの第2話のタイトルが「The Kang Dynasty!」であり、これが映画のタイトルの元ネタになったと考えられます。
個人的に、カーンというヴィランの複雑さが魅力的だと思います。
タイムトラベルを繰り返した結果、様々なバージョンのカーンが生まれ、それが「カーン評議会」を形成するという設定は、マルチバースを扱うMCUの新たなフェーズにぴったりだったんですよね。
MCUフェーズ6の制作上の課題と方向転換
MCUフェーズ6の制作過程では、複数の課題や変更点が生じました。

ディズニーCEOのボブ・アイガーは2023年2月、コスト削減の一環としてコンテンツの量を再評価する方針を発表しました。
ケヴィン・ファイギもフェーズ4でのDisney+コンテンツが短期間に多く公開されたことを振り返り、フェーズ5と6ではリリースにより間隔を空けるか、年間の公開数を減らす見通しを語りました。
これは「それぞれの作品が輝く機会を得られるように」という配慮からです。
最も大きな変更点は、征服者カーン役のジョナサン・メジャースに関連しています。
メジャースの演技が高く評価され、彼の存在がMCUフェーズ6の方向性に影響を与えていました。
しかし、メジャースの暴行容疑に関する法的問題により、彼のMCUでの将来が不透明になりました。
結局、メジャースはMCUから解雇され、これによりプロジェクト全体の大きな方向転換が必要になりました。
サンディエゴ・コミコン2024では、「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」から「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」へのタイトル変更が発表され、ロバート・ダウニーJr.演じるドクター・ドゥームがメインヴィランになることが明らかにされました。
この変更は単なるキャスティングの問題を超え、「マルチバース・サーガ」全体の物語構造に影響を与える重大な決断でした。
また、フェーズ6の公開スケジュールにも大きな変更がありました。
当初は「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」と「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」が2025年に6ヶ月の間隔で公開される予定でしたが、一連の延期により、現在は1年の間隔を空けて公開されることになりました。
この変更により、フェーズ6は2027年まで延長され、その間により多くのプロジェクトが追加される可能性も生まれました。
僕自身、メジャースが降板したときは「マジか…」と思いましたね。
彼の「ロキ」での演技は本当に素晴らしかったですし、MCUの次なる大物ヴィランとして期待していたので残念でした。
でも、ダウニーJr.がドゥーム役で戻ってくるというのは、ファンとしては胸が躍るニュースでしたね。
原作コミックから読み解く「ザ・カーン・ダイナスティ」の可能性

「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」が企画されていた段階での内容を理解するには、原作コミックの「カーン・ダイナスティ」ストーリーを参照すると良いでしょう。
このコミックでは、征服者カーンが自分の息子マーカスと共に21世紀の地球を征服するために襲来し、アベンジャーズが応戦するという物語が描かれています。
注目すべき点として、このコミックではカーンの息子マーカスとキャプテン・マーベル/キャロル・ダンバースとの間に重要なドラマが存在します。
また、カーンとキャプテン・アメリカの戦いも用意されていました。
映画版で同じストーリーが描かれるとすれば、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」でサム・ウィルソンが就任した新キャプテン・アメリカの活躍が見られたかもしれません。
一方、「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」の元ネタとなったコミックは、1984年から1985年に刊行されたマーベル初の大型クロスオーバーイベントです。
このコミックでも征服者カーンは登場していますが、それほど大きな役割ではありません。
ストーリーの中心は、宇宙的存在「ビヨンダー」が創造した「バトルワールド」で地球のヒーローとヴィランが戦うというものです。
また、カーンに関連する重要な設定として「カーン評議会」があります。
これは、カーンが何度もタイムトラベルした結果、様々なバージョンのカーンが誕生し、その一部が協力して他のカーンを倒そうとする評議会です。
この「カーン評議会」の設定は、マルチバースを扱うMCUの新たなフェーズにふさわしい要素と言えるでしょう。
また、海外メディアの報道によれば、もともと「ザ・カーン・ダイナスティ」では、TVA(時間変異取締局)が征服者カーンの変異体が集まるカーン評議会を倒すために行動する展開が予定されていたようです。
これらの原作要素やプロット計画がどの程度「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」に引き継がれるのかは現時点では不明ですが、「マルチバース・サーガ」という大きな枠組みは維持されると考えられます。
マーベルコミックをこよなく愛する者としては、この「カーン評議会」というコンセプトが映像化されることを本当に楽しみにしていました。

様々なバージョンのカーンが画面に登場する姿を想像すると、胸が高鳴りますね。
「マルチバース・サーガ」の行方とMCUの未来
「アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ」から「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」への変更は、「マルチバース・サーガ」全体にどのような影響を与えるのでしょうか?
この変更により、MCUの未来はどのように形作られていくのでしょうか?
まず重要なのは、「マルチバース・サーガ」という大枠は維持されるという点です。
ドクター・ドゥームはマーベルコミックにおいても非常に重要なヴィランであり、「シークレット・ウォーズ」(特に2015年版)においては中心的な役割を果たしています。
そのため、カーンからドゥームへの切り替えは、「マルチバース・サーガ」の本質を変えるものではなく、むしろ原作の「シークレット・ウォーズ」により近づける可能性もあります。
また、ロバート・ダウニーJr.のMCU復帰は、ファンにとって大きな驚きであり、新たな興奮を生み出しています。
彼がアイアンマン/トニー・スタークとは異なるキャラクターとして登場することで、MCUに新たな次元が加わるでしょう。
「マルチバース・サーガ」の今後の展開として考えられるのは、「ファンタスティック・フォー」の公開が「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」の前に設定されていることから、ドクター・ドゥームの導入と彼の脅威の確立がこの映画で行われる可能性があります。
そして「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」では、新たに結成されたアベンジャーズチームがドゥームと対峙し、「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」でその戦いが多元宇宙規模に拡大するという流れが想定できます。
フェーズ6に関しては、まだ多くの謎が残されています。

公式に発表されているのは「ファンタスティック・フォー」と2つのアベンジャーズ映画のみですが、Disne+シリーズや他の映画が追加される可能性も高いです。
「ヤング・アベンジャーズ」や「ワールド・ウォー・ハルク」、「ミッドナイト・サンズ」などの企画が噂されています。
MCUファンとしては、「マルチバース・サーガ」がどのような形で展開していくのか、本当に楽しみですね。
カーンからドゥームへの変更は予想外でしたが、マーベルはいつも予想を裏切る形で私たちを驚かせてくれます。
今後も目が離せませんね!
Citations:
- https://en.wikipedia.org/wiki/Marvel_Cinematic_Universe:_Phase_Six
- https://note.com/shoprobooks/n/n4214ad4c8126
- https://theriver.jp/kang-the-conqueror/
- https://screenrant.com/marvel-mcu-phase-6-changes-announcement/
- https://www.cinematoday.jp/page/A0008478
- https://screenrant.com/mcu-phase-6-movies-shows-story-villain-characters/
- https://ginema-nuts.com/avengres-the-kang-dynasty-rumor-story-plot
- https://www.youtube.com/watch?v=nK_oB0Wn-xI
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